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『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』の音響監督・岩浪美和が生み出す現実と虚構の狭間がスゴい!「あえて大助の持つガジェットの音は“ありえそうなもの”になっています」【インタビュー】

2020/7/30


 大富豪である神戸家の御曹司・神戸大助と、熱血人情派の刑事・加藤 春がコンビを組んで事件解決に挑む『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』(原作:筒井康隆/新潮文庫刊)。発売中のアニメディア7月号では、本作の音響監督を務める岩浪美和のインタビューを掲載。「超!アニメディア」では、アニメディア本誌では掲載しきれなかった内容も含めた長文版で紹介する。1975年に発表された原作から舞台を現代にアレンジしている本作だが、刑事ドラマと近未来的要素をどのように音作りに盛り込んでいるのか、その工夫やアフレコの様子を語ってもらった。


視聴者がワクワクするような王道な音に

――ハードなアクションシーンの音響を制作するうえで工夫されているところはありますか?

 アクションシーンに関しては、王道の派手さが出るようにという意識で、オーバーにしてはいますが、でもやり過ぎないというところを目指しました。刑事ものでありつつ、スパイものでもあるような感覚ですね。派手なアクションにあえて王道の音を付けることで、観る方にワクワクするような気持ちを持ってもらえたらと思っています。

――AI執事・ヒュスクの声は機械っぽくないんですね?

 今の時代は、スマートフォンなどにも声に反応するAIが入っていて、実際に使ったことがある方も多いと思うんです。それくらい身近にあるものであれば、声の処理をしすぎるとリアルさがなくなってしまう。なので、あえてほとんど処理をしませんでした。科学が進めば、再生装置は極めて生に近く、音質もよくなる。それをヒュスクは表現しています。

神戸大助

――大助が使うガジェットの音についての工夫はありますか?

 大助は、金遣いが荒く荒唐無稽にも見えるキャラクターですが、現代劇ですからある種のリアリティーは持たせたい。それでいて、エンターテインメントとして着地させなければいけないので、SFロボットアニメみたいな音にするのは避けました。そうすると、どうしても嘘っぽくなってしまうので。なので、あえて彼の持つガジェットの音は“ありえそうなもの”になっています。

――岩浪さんが考える「音で光る名シーン」はどこでしょうか?

 アクションシーンの派手さはもちろんですが、タイトルをそのまま歌うメインテーマのかかるシーンもポイントです。TVシリーズって、メインテーマを1話から印象づけることが難しいんです。何回か主人公が活躍しているところでかかって、やっと視聴者が認識してくれる。でも、せっかく菅野祐悟さんが楽しく作ってくださったようなので、とにかく最初から印象づけたくて。ビッグバンドのゴージャスな音楽を、金持ちの刑事に付ける面白さを感じていただけたらと思います。

――大助役の大貫勇輔さんにどのようなディレクションをされていますか?

 大貫さんは吹き替えの経験はありますが、アニメのアフレコは初めてだったので、声優の方とはアプローチの仕方が違うんですね。でも、僕はその違和感も面白いと思っているし、あえてこうしたほうがいいという指示は出していません。いろいろなシチュエーションを説明して、もう少し声のキーを下げてみませんか、みたいな提案をする。彼のポテンシャルを引き出すように心がけています。

――加藤役の宮野真守さんへの指示はいかがでしょうか?

 宮野くんはデビューのころから知っていて、お互いにやり口もわかっているので、それほど細かく指示を出したりはしません。何かあれば大貫さんと同じように、別の方向性を提案する。そうすると「じゃあやってみまーす」みたいな返事がある感じですね(笑)。

加藤 春

どんどん人間くささが増していくように

――アフレコ全体で意識していることはありますか?

 大助と加藤が所属する「現代犯罪対策本部準備室」のメンバーは、ほかの人たちよりは、より人間くさくなるように心がけていますね。声優さんたちとも相談して試行錯誤をしつつ作っています。一方で、捜査一課の人たちは、まだ出番が少ない分、少ない会話でもバックボーンが感じられるように。2話で登場した「神戸鈴江」に関しては、だんだん人間らしいシーンが出てくるので、楽しみにしていてください。かなりギャップがあって楽しいキャラクターになるので、そこも見どころのひとつだと思います。

――アフレコ現場の秘密の話があれば教えてください。

 OP映像のなかに、大助っぽい人物がシルエットで踊っているシーンがありますが、あれは実際に大貫さんが踊っています。アフレコスタジオで、伊藤智彦監督が「踊ってみてほしい」とお願いして、それを撮影して使わせてもらっているんです。やはり本職の方のダンスなので、すごくかっこよかったですよ。

――『富豪刑事』の原作について思い出はありますか?

 原作はほぼリアルタイムで読んでいたと思います。僕たちの世代の文化系男子は、星新一さんのショートショートを教科書などで読んで、そこからSFってどんなものだろうと思い、次に手に取るのが筒井康隆先生か小松左京先生の本だったんです。今の人がライトノベルを読む感覚に近いのかな。中学生、高校生の頃に読んでいて、人格形成にも影響を受けていると思うので、こういう形で先生の作品を手がけられるのは感慨深いです。中学時代の原作を読んでいる自分に「お前は数十年後にこの作品を手がけるんだぞ」と言ってやりたいですね。

――最後に、改めてスタートした『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』に期待されている方々に向けてのメッセージをお願いします。

 『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』は、大助の持つガジェットの面白さ、そしてアクションと振れ幅が大きい作品なんですね。それが魅力だと思いますので、細かいことは気にせずにエンターテインメントとして楽しんでもらいたいです。今後、彼のかわいいシーンも出てきますので、お楽しみに。

取材・文/野下奈生(アイプランニング)

プロフィール
岩浪美和【いわなみ・よしかず】
手がけた主な作品は『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズ 音響監督、『空挺ドラゴンズ』音響監督 ほか。

『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』作品概要
【放送情報】
毎週木曜日深夜0時55分よりフジテレビ“ノイタミナ”ほかで放送中

【スタッフ】
原作:筒井康隆『富豪刑事』(新潮文庫刊)
ストーリー原案:TEAM B.U.L
監督:伊藤智彦
シリーズ構成・脚本:岸本 卓
キャラクターデザイン:佐々木啓悟
サブキャラクターデザイン:田辺謙司
美術設定:藤瀬智康/曽野由大/末武康光
美術監督:佐藤 勝/柏村明香
色彩設計:佐々木 梓
メカデザイン:寺尾洋之
CG監督:那須信司
撮影監督:青嶋俊明
編集:西山 茂
音楽:菅野祐悟
音響監督:岩浪美和
音響制作:ソニルード
スタイリングアドバイザー:高橋 毅
ガジェットコーディネート:ギズモード・ジャパン
アニメーション制作:CloverWorks

【キャスト】
神戸大助:大貫勇輔
加藤 春:宮野真守
神戸鈴江:坂本真綾
清水幸宏:塩屋浩三
仲本長介:神谷 明
亀井新之助:熊谷健太郎
佐伯まほろ:上田麗奈
湯本鉄平:高橋伸也
武井克弘:小山力也
星野 涼:榎木淳弥
ヒュスク:興津和幸

●パッケージ情報
『富豪刑事 Balance:UNLIMITED 1』
【発売】2020年10月14日(水)
【価格】Blu-ray完全生産限定版 10,000円(税別)/DVD完全生産限定版 8,000円(税別)
【完全生産限定版特典】
・キャラクターデザイン・佐々木啓悟描き下ろしジャケット
・オリジナルドラマCD
・ジャケットイラストカード
・ストーリーカード
※購入特典やVol.2以降の商品情報は公式サイトにて紹介

公式サイト
https://fugoukeiji-bul.com/

公式Twitter
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(C)筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥



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