「週刊少年チャンピオン」で連載中の渡辺航による自転車ロードレースにかける高校生たちの熱い戦いを描いた「弱虫ペダル」。TVアニメシリーズは2013年の1期から2017年の3期まで放送され、いずれも好評を博した。2018年1月には4期の放送も決定し、ますます勢いに乗る「弱ペダ」だが、10月13日(金)から、新世代メンバーたちの新しいドラマが描かれた3期の物語をオリジナルの新作パートを織り交ぜて再構成した『弱虫ペダル Re:GENERATION(リ ジェネレーション)』が特別上映される。公開を記念して、本作で主人公・小野田坂道が所属するチーム総北高校新キャプテンとして、チームを引っ張る手嶋純太を演じた岸尾だいすけに演じた役のこと、作品の見どころなどを聞いた。
ーー3期でキャプテンとなり、総北をまとめあげ引っ張っていく立場となった手嶋は、チームにとって要となる重要なポジション。これまで演じられてきて、その成長ぶりや変化についてどのように感じていらっしゃいますか?
最初はセリフもほとんどない、ただのチリチリパーマの男でしたからね(笑)。でも、田所たち3年生がいなくなった後、先輩たちの思いを受け継いで、「やらなきゃいけない」という思いがより強くなったのかなと思います。インターハイが“チーム2人”としていつも一緒にやってきた青八木との目標でもありましたし、そのためにめちゃくちゃ努力したのが現れているんじゃないかなと。ただ、あとになってみたら「成長したな」という風に捉えられますけど、そのときそのときにはとにかくがむしゃらに挑んでいたと思うので、成長を感じたというのはあくまであとづけなのかなと思います。それと、もともと手嶋にはそういうキャプテンとして、人の上に立てる素質があったんだと思います。頭がよくて、うまく人を育てて、適材適所に持っていけるというか。まぁ、無口な青八木をキャプテンにするわけにはいかないですしね(笑)。
ーー演じた手嶋とご自身の共通点はありますか?
基本的にはどんなキャラとも似てないと思うんですけど、3期をやるとなったときに、手嶋が要になってくることもあって、「手嶋を演じるのは大変だ」とスタッフからも言われてたので、ある程度心づもりをして挑んだんです。そこのやる気という意味では、手嶋とリンクしてたんじゃないかなと思います。あとは、手嶋の自転車にかける思いと、僕が芝居にかける思いも繋がるものがあるのかなと。真波(山岳)とのレースでの「俺は自転車が好きなんだ」っていうセリフも、あれを芝居に置き換えれば完全に自分のことですからね。
ーー演じている中でも共感できるところもあったと?
手嶋はまわりが才能にあふれている中で、普通の人というポジション。お客さんの目線から見ても一番近い存在だと思います。そんなに日常生活で天才っていないですからね(笑)。努力して頑張っているというところは共感しました。
ーーその“普通さ”を演じるのは難しいのでは?
まわりのキャラが強烈で(笑)、ちゃんと演じればそれが普通になるので、特に大変さは感じなかったです。やっぱりキャラクターですから、一般の人の“普通”とは違いますし。そもそも、まわりがすごすぎて平凡だと言われてますけど、インターハイに出て、全国優勝した学校のキャプテンをしているわけだから十分すごいですからね(笑)。
ーーたしかにそうですね(笑)。アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?
人数が多い現場ですから、必然的ににぎやかでしたね。レースのシーンが始まると、だいたい2チーム、3チームいるから18人くらいいて、それに応援の声の人も加わるとさらに多くなって、それだけでかなり熱量が上がるんです。1期、2期をやっているというのもありますし、キャスト自体が僕も含めて芸歴が10年以上の人が多くて、よく知っているメンバーで、さらにみんなこの作品が好きなので、作品のことを中心に話してましたね。沈黙が続くとしんどい…みたいなこともなく(笑)、何かしら話して、楽しくてやりやすい現場でした。
ーーこれまでTVアニメとしては第3期まで放送されてきましたが、あらためてこの作品の魅力はどういったところだと思われますか?
インターハイ優勝をかけた高校生のアツい青春ドラマと、ところどころ入るギャグ的要素のギャップだと思います。スポーツものですし、絵のタッチも少年マンガらしい感じなので、個人的には男性に刺さる作品なのかなと思ってたんですけど、女性からも好評をいただいているようで、そこが今でも少し不思議な感じです。
ーーアツいエピソードが多数描かれている本作ですが、岸尾さんご自身が最近胸がアツくなったエピソードを教えてください。
小さいことならおいしいご飯食べてテンションが上がったりはありますけど、ここまでアツくなることはないなぁ…。お芝居をしているときもこういうドカーンという感じではなくて、沸々とこみ上げてくる感じですし。最近だと、ゲームでVRを体験したときはテンションがちょっと上がりましたね。あとは、何だろう? あ、でもついこの前、すごくいい天気の日に、ちょっと遠い仕事場に自転車で行けたのはうれしかったですね。車と電車が苦手なので、雨の日以外は、基本的に移動は自転車なので。遠くに行くときは、出発するときにまずテンションが上がって、途中でつらくなってくるんですけど、最後到達する手前ぐらいでまたテンションが上がってくるんです。ただその後の仕事がメインなので、あんまりそこで達成感を感じるのもどうなんだって話なんですけど(笑)。天気がよくて、その中を走れるっていうのがよかった! 今年の夏は快晴の日に走れるってことがあまりなかったので、余計にそう感じたのかもしれないですね。
ーー今回新作パートとして、金城、巻島、田所の3人が後輩たちをパンに例えるシーンがありますが、手嶋は髪型からなのか焼きそばパンでした。もしご自身をパンにたとえるとしたら何だと思われますか?
あ、だから焼きそばパンなのか! 今気付きました(笑)。御堂筋のチョココロネは、チョコの飛び散り具合とかなかなか気持ちが悪かったですね(笑)。僕自身は、塩バターパンじゃないかなと思います。名前も「きしお」なので。奇をてらう「奇」に「塩」で「奇塩パン」でお願いしたいです(笑)。実際好きなんです。いろんなところのを食べてるんですけど、某コンビニチェーンのものが一番おいしい。未だにこれを超えるものに出会えてません(笑)。
ーー2018年1月には第4期の放送がスタートします。最後に本作の見どころ、4期の放送を楽しみにしている人に向けてメッセージをお願いします。
今回の作品は3期の総集編というだけあって、非常にすっきり見やすくなっているのでこれを見て、4期に備えてもいただければと思います。4期は手嶋的には一段落してしまっていますが、まだインターハイ1日目が終わってないんですよ(笑)。途中から始まって、突然クライマックスに突入するので、気を抜いていられない展開になるはずです! さらにアツくなるであろうインターハイ1日目のラスト、そして2日目、3日目がいったいどうなるのか、どこが優勝するのか、手嶋の「どわっちょ」がまた出るのか(笑)、さらに3期で登場した新キャラたちがどうなるのかなど、楽しみにして応援していただけたらと思います。寒い冬のスタートですけど、作品自体はめちゃくちゃアツいですから、またみんなでアツく盛り上がれたらと思います!
◆プロフィール
きしお・だいすけ/3月28日生まれ、愛知県出身。近作は「ドラゴンボール超」(キャベ)、「ヴァンガードGシリーズ」(ハイメ・アルカラス)、「少年アシベ」(アシベの爺ちゃん)、「ワンピース」(ヴィト)、吹き替え「ダーク・ジェントリー」(ダーク)など。
<『弱虫ペダル Re:GENERATION(リ ジェネレーション)』情報>
2017年10月13日(金)から劇場にて特別上映
配給:東宝映像事業部
公式ホームページ
http://yowapeda.com/regeneration/
(C)渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダル03 製作委員会