昨今人気の声優業界。
新人声優のファイルーズあいです。ファイルーズはファーストネームで、あいがミドルネーム。ファイルーズと呼ばれるほうが好きなので、そう呼んでもらえるとうれしいです！ 父がエジプト人、母が日本人で、日本育ち。昔からお家ではアラビア語だったので、簡単なアラビア語の日常会話なら任せてください！「考える前にやってみよう」という性格で、共働きの両親の元を離れ、小学校5年生から卒業するまでカイロの日本人学校に通っていました。カイロのおばあちゃんとのふたり暮らしでは、お昼を自分で作っていたので、炊事は今でも苦にならず、よい経験だったなと思います。
アニメディアさんは学生のころ、『戦国BASARA』が好きでピンナップ目当てに購入した思い出があります。実ははじめて異性を意識したのが、『忍たま乱太郎』の（山田）利吉さん。学校から帰ってテレビをつけて、「利吉さんかっこいー！」と楽しんでいました（笑）。
声優になりたいと漠然に考えはじめたのは中学生のころ。当時は声優になりたい人を数えるとひとクラス作れるくらい人気の職業で、まわりの人はみんな「声優になりたーい」とライトな感じで憧れを抱いてました。高校生活は“毎日がチーン……”で、まったく楽しくなかったです。そんなころ、『ジョジョの奇妙な冒険（以下ジョジョ）』に出会って運命が開けていったように思います。「だが断る」「オラオラオラ……」みたいなニコニコ動画のコメントから知ったんですけど、登場人物たちが誇りや信じるもののために戦っている姿を見て、わたしはなんて小さな女なんだとショックを受けました。特に、『ジョジョの奇妙な冒険 Part6 ストーンオーシャン』の空条徐倫が逆境に立ち向かいながら戦う姿に憧れたんですね。それから、ネットのジョジョ好きの人とも交流を持ち、スカイプで朗読会をやったときに演技を褒めてもらえたのがきっかけで、「私がやりたかったのはこれなんだ！」と声優になることが目標になりました。
現在放送中の『ダンベル何キロ持てる？』ではヒロインの紗倉ひびきを演じさせていただいてます。オーディションのお話をいただいたとき、私が筋トレを趣味にしていたのはこのためだったんだと思ったんです！ 私が筋トレのすばらしさを友達に伝えてもなかなか理解してもらえないのですが、アニメの影響でやってみようという方がいるはず。今は筋トレ業界を背負って行かなければ……という使命感にも燃えています（笑）。最初、オーディションではジーナ・ボイド役を受けたのですが、監督からひびきのセリフも読んでみてと言われました。その結果、なんとひびき役をいただけることとなりました。実は、ジーナの練習をしているとき、ひびきって私なんじゃないかと思うくらい彼女に共感していて、密かにひびきの練習もしていたんです。ひびきの考え方は「0か100か」で極端ですが、そんなところに共感が持てました。チートデイ（ダイエットの停滞期を乗り切るためにあえて好きなものを食べる日のこと）のエピソードのように、私も食べるときは思い切り食べたいし、筋トレするときはとことん鍛えたい。アフレコでは、「渋谷のJK（女子高生）感を忘れないで」という指示のもと、等身大の媚びない女の子を意識してひびきを演じています。JKを研究するため、JKのYouTuberの動画を観たり、渋谷に行ったりしたんですけど、意外とひびきタイプの“ギャル”はなかなかいないんですよね（笑）。
『ダンベル何キロ持てる？』はギャグシーンが多くて、笑って楽しめる作品です。私、小津俊夫先生の解説パートがすごく好きで。演じられている飛田展男さんの、変態的な表現が面白いですよね。テスト中もみんな下を向いて笑いをこらえるのに必至なくらい。「フン！」とか「ヌン！」とか、ただでさえ見た目のインパクトがあるのに、監督が「もっと気持ち悪い要素がほしいです」とディレクションをされていました。今後、ジーナというあたらしいムードメーカーがシルバーマンジムをかき乱してくれるので、そこが大きな見どころです。ひびきもジーナもおバカキャラなので、ふたりの掛け合いにも注目していただければと思います！
ふだんは夜の10時に寝て、朝5時に起きる早寝早起きの生活をしています。早朝、誰もいないジムでトレーニングをするのが気持ちいいんです。こういった話をするとストイックな性格だろうと思われますが、私の場合、好きなものは食べたい！というタイプ。休日はお菓子を食べながら映画を見ることが習慣なんです。オススメは「Lays」というポテトチップス。封を切ったら空になるまで手が止まりません。もちろん贖罪のために有酸素運動はしっかりとするんですけど、お菓子を食べなければ、もっとバキバキのキレッキレなはずなのに……。
今後の目標ですが、やっぱり『ジョジョ』のおかげで声優を目指し、今お仕事をいただいているので、いつかは『ジョジョ』のアニメに出演したいです。ほかには、エジプトに住んでいてアラビア語を話せるということを強みにして、アラブの国々の人たちにアニメのすばらしさを知ってもらう、国と国の架け橋になれるような存在になれたらいいなと思っています。“ファイルーズあい”という名前をみたとき、きっとみなさんは「誰なんだこいつ？」と思われているのではないでしょうか。今回のインタビューで私のことを覚えて、少しでも興味を持っていただけるとうれしいです。プロの声優として、キャラクターへの愛情を込めて演技をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします！
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PROFILE
【ふぁいるーず・あい】7月6日生まれ。東京都出身。プロ・フィット所属。『ダンベル何キロ持てる？』（紗倉ひびき役）、WEBアニメ『ハツラツ君』（ハツラツ君役）などを務める。趣味は筋トレ、ホラー映画鑑賞、絵を描くことなど。
●撮影／髙旗弘之 取材・文／ヤマダサトシ ヘア＆メイク／前川貴代（ゴールドシップ）
