「万次さん、元気かな」――映画『無限の住人』ヒロイン役・杉咲花の語る、役へ臨む姿勢とは | 超!アニメディア

「万次さん、元気かな」――映画『無限の住人』ヒロイン役・杉咲花の語る、役へ臨む姿勢とは

世界中で支持され、コミックのアカデミー賞と称されるウィル・アイズナー漫画業界賞の最優秀国際作品賞を受賞したマンガ『無限の住人』が実写化。三池崇史×木村拓哉という強力タッグが贈る本作のヒロイン役に挑んだ杉咲花に、役へ臨む …

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 世界中で支持され、コミックのアカデミー賞と称されるウィル・アイズナー漫画業界賞の最優秀国際作品賞を受賞したマンガ『無限の住人』が実写化。三池崇史×木村拓哉という強力タッグが贈る本作のヒロイン役に挑んだ杉咲花に、役へ臨む姿勢を語ってもらった。『アニメディア』2017年6月号「アニメディアライブフィルムズ」のコーナーで掲載しきれなかった部分を含め、ここにご紹介する。

――まず最初に、杉咲さんが演じた凜の役どころを教えてください。

 凜は、両親を殺された復讐のために、万次という不死身の体を持つ男を用心棒につけ、たくさんの敵と戦うことになる少女です。精神、肉体面ともに弱さと強さを持ちあわせている不器用な少女なのですが、それでも両親への思いを胸に、自分の信念のために突き進む姿は、愛らしくて、守ってあげたくなるような存在でもあると思います。

――『無限の住人』の原作コミックスを読まれた感想を教えてください。

 家族でも恋人でもない凜と万次ですが、このふたりの間にしかない深い愛を感じましたし、そんなふたりの関係性に、とても憧れました。マンガ全体から、どことなく生臭さのようなものが立ち込めてくるように感じたのも印象的です。

――そんな凜を演じるうえで、意識されたことはありますか?

 凜の過去を大事にすることです。凜の両親への思いや彼女自身の過去を自分なりに理解して万次と向き合えば、自然と凜になることができると信じて撮影に臨ませていただきました。“現場でこうしよう”と思うのではなく、“気づいたら凜になれているといいな”という思いを抱きながら演じました。撮影が進むにつれ、「万次さん、元気かな」と思うことが増えていって、演じていることを忘れてしまう瞬間があるくらい、リアルに関係性を感じることができたと思います。

――特に印象に残っているシーンはありますか?

 ラストの300人斬りのシーンです。あれだけの人数に襲われるのはすごい経験でした。演技ではあるけれど、本番では命の危機を感じました(笑)。1月の京都の山奥で2週間くらいかけて撮影したので体力的にも過酷で、そういう意味でもとても印象に残っています。

――アクションシーンを演じてみていかがでしたか?

 撮影に入る1、2か月くらい前から殺陣の稽古をしました。最も基本的な「正眼の構え」という姿勢があるのですが、その姿勢をとるだけでも本当に苦しいんです。パッと刀を手に取っただけで、昔から刀を握ってきた人のように見えなければいけないのがすごく難しく、苦労しました。

――世界でも注目をされている三池崇史監督の現場はいかがでしたか?

 お会いする前は、「三池監督ってどんな方なのかな……」と少し不安な部分もありました。「怖い方なのかな」って(笑)。でも、実際にお会いしてみたらすごく優しい方でした。三池監督の現場は、長年、三池監督と一緒にお仕事をされているスタッフの方々が集まっているので、現場に入った瞬間から居心地がよくて、安心して撮影に臨むことができました。

――三池組の撮影で印象に残っていることはありますか?

 三池組は絵コンテを基に殺陣の撮影を行いました。映画やドラマの現場で絵コンテがあったのが初めての経験だったので驚きました。特に、先ほどお話したラストシーンに関しては絵コンテだけでも何十枚あるんだろう……! というくらいのボリュームで。動きをひとつひとつ細かく撮られていたのにこだわりを感じました。

――三池監督からは、芝居についてどのようなディレクションがあったのでしょうか?

 細かな動きやセリフについてはその都度ご指摘をいただきましたが、役作りに関しては実は特にご指示はいただいていないんです。最初にお会いしたときに「原作をリスペクトしたい」とおっしゃっていて、その言葉にすべてが集約されているように感じました。

――原作がある役柄を演じる難しさは、どんなところにあると思いますか?

 マンガならではの手法で表現された世界観や迫力を映像で表現することの難しさを強く感じました。その一方で、映像にしかできない表現もきっとあると信じているので、それが表現できていたらいいなと思います。

――では本作の面白さは、どんなところにあると感じましたか?

 一番強く感じたのは衣装合わせをしたときです。原作で読んでいたキャラクターのリアルな衣装が目の前にあって、「これで凜になれる……!」と感動しました。

――万次役の木村拓哉さんとは、芝居について何かお話はされましたか?

 お芝居について具体的にお話することはあまりなかったのですが、木村さんからは人として、そして役者として大切なものをたくさん教えていただきました。撮影が進むにつれ、凜が万次を想うように、私の木村さんに対する信頼が強くなっていって、どんどん役柄とリンクしていったのが印象的でした。

――撮影現場の雰囲気を教えてください。

 年上の方々が多かったのですが、みなさん対等に接してくださったので、本当に楽しんで撮影に臨むことができました。福士(蒼汰)くんとは何度か共演させていただいているので、現場にいる姿を見るだけで安心感がありましたね(笑)。

――最後に、メッセージをお願いします。

 物語は凜や万次目線で語られているので、一見するとほかのキャラクターは悪役に見えてしまうのですが、じつは彼らにも悲しい過去があって、見方を変えるとどちらが悪なのかわからなくなってくる……そんな切なさを含んだ作品です。アクション映画がお好きな方はもちろん、普段はアクション映画を観ない方にも、きっと楽しんでいただけると思います。ぜひ劇場でご覧になってください。

 

<杉咲花(すぎさき・はな)プロフィール>
1997年10月2日生まれ。連続テレビ小説『とと姉ちゃん』でヒロインの妹役を演じ、2016年に映画『湯を沸かすほどの熱い愛』安澄役で第40回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞受賞。7月8日に公開される映画『メアリと魔女の花』でヒロイン・メアリの声を務める。

<映画『無限の住人』情報>
絶賛公開中

原作:沙村広明『無限の住人』(講談社「アフタヌーン」所載)
監督:三池崇史
脚本:大石哲也
音楽:遠藤浩二
出演:木村拓哉 杉咲花 福士蒼汰 市原隼人 戸田恵梨香 北村一輝 栗山千明 満島真之介 金子賢 山本陽子/市川海老蔵 田中泯/山﨑努 ほか
配給:ワーナー・ブラザース映画

公式HP      
http://mugen-movie.jp

(C)沙村広明/講談社 (C)2017 映画「無限の住人」製作委員会

 

《超!アニメディア編集部》
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