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アニメディア10月号コラム「アニメ妖怪よもやま話」全文掲載。妖怪文化研究家・木下昌美が『鬼灯の冷徹』に出てくる鬼や座敷童子という存在について語る

2017/11/11


 発売中のアニメディア2017年10月号で掲載しているコラム「アニメ妖怪よもやま話」。アニメ・マンガ作品における定番ジャンルでもある「妖怪」のことを、ときに楽しく、ときにちょっとだけアカデミックに解説するコーナーとなっている。今回はその全文を掲載します。語り部は奈良県在住の妖怪文化研究家・木下昌美先生です。

 

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<地獄における鬼> 
 

 閻魔大王の第一補佐官・鬼灯(ほおずき)をはじめとした数々の個性的なキャラクターが活躍する『鬼灯の冷徹』――。江口夏実さんがマンガ雑誌「モーニング」にて連載している作品で、今年10月からアニメ第弐期の放送が開始しました。

 同作品では地獄を舞台に、鬼灯のような獄卒のほか、白澤(はくたく)や座敷童子(ざしきわらし)、ツチノコ、さらにサタンやリリスなども登場しており、大変にぎやか。そんな地獄という場所も、ある意味、異界。人ならざる者がうごめく場所です。

 さて、みなさんは地獄の鬼について、どのようなイメージをお持ちでしょうか。おそらく多くの方々が赤や青い色の体をしており、角のようなものが生え、罪人を懲らしめる恐ろしげな姿を想像するのではないかと思います。現在、絵本などで描かれているものが往々にしてそのような姿であることが、先述した地獄の鬼像のイメージが定着した理由のひとつと考えられます。

 そもそも〝鬼〟は姿かたちのないものでした。人が死んだものが鬼になると云われていたのです。それが次第に仏教や儒教、道教など、さまざまな宗教がからみ、日本国内で熟成されて現在の鬼像ができあがりました。地獄の獄卒も、鬼という大きな枠組みの一部です。

 本作では閻魔大王を支える鬼灯や、鬼灯を慕っている唐瓜(からうり)や茄子(なすび)らが地獄で働いています。そして、それら獄卒と区別するようにして酒呑童子(しゅてんどうじ)や、そのほかの鬼が描かれています。鬼とひと口に表現するものの、いろいろなタイプの鬼があり、鬼灯らはそのなかでも仏教色を色濃く反映したものであることを念頭に置いて作品を観察すると、また違う見方ができるかもしれません。

 

<白澤や座敷童子について> 
 

 本作において強烈なキャラクターといえば、白澤。鬼灯と仲が悪いのか、いつもやり合っています。白澤は中国大陸に伝わる徳(とく)を備えた帝王のもとに現れるとされる神獣(しんじゅう)で、のちに漢方(ルビ:かんぽう)の神様として信仰されるようになりました。江戸時代あたりでは、刷り物などに登場して広く知られるようになったようです。なるほど、作中でも漢方薬局「うさぎ漢方『極楽満月(ごくらくまんげつ)』」を営んでいますね。

 また、鬼灯のまわりをチョロチョロしている座敷童子の一子(いちこ)と二子(にこ)の存在も忘れてはなりません。無表情でどことなく怖い雰囲気の一子と二子。住みついている家の住人を見守りはしますが、堕落(だらく)すると見限るという一面もあります。

 座敷童子といえば、一般的に家の座敷で悪ふざけをしたり、富(とみ)をもたらしたりするものと云われています。近ごろは富をもたらすという方面のみが有名になりすぎて、人間にとってプラスの働きをするものというイメージが強いと思われますが、実際のところはそうでもありません。

 座敷童子が登場する作品を見ていると、家に座敷童子が住みついている間はよいものの、いなくなると途端に没落する場合が多いのです。これは座敷童子を家で守る代わりに、富が与えられているということ。いなくなればその代償として、それ相応の負荷があると考えられます。その点、本作の一子と二子は堕落したものは早々に見限る性質があるので、座敷童子の特徴をよく捉えたキャラクターだと言えるでしょう。

 このように『鬼灯の冷徹』は、地獄で働く鬼たちだけに限らず、妖怪という側面からも楽しむことができる作品です。アニメ第弐期では新キャラクターも登場するようですが、今後はどのような妖怪が活躍するのでしょうか。私も楽しみに拝見したいと思っています。

 

 

解説:木下昌美
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<プロフィール>
妖怪文化研究家。福岡県出身、奈良県在住。子どものころ『まんが日本昔ばなし』に熱中して、水木しげるのマンガ『のんのんばあとオレ』を愛読するなど、怪しく不思議な話に興味を持つ。現在、奈良県内のお化け譚を蒐集、記録を進めている。大和政経通信社より『奈良妖怪新聞』発行中。

 

●挿絵/幸餅きなこ

 



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